メンタルヘルス

悩みは口で説明してみると整理ができるー社会的構成主義の観点から

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放送大学での私の今期の授業は3科目です。放送授業では「教育心理学概論」「学力と学習支援の心理学」、そして面接授業の「心理学実験1」です。メンタルヘルスや臨床心理とはあまり関係がない科目なのですが、これらの授業を受けてみて、もしかしたらカウンセリングにも通じることなのではないかと思うところがあったので今日はそれをテーマにしてみようと思います。

教育心理学概論では人が物事を学ぶ仕組みであったり、学びを深化するための方法論が書かれています。その中で、「社会的構成主義」という言葉が出てきます。その部分を引用してみましょう。

人は他人と話し合っている途中で、2人共よくわかっていない事柄について、新しい見方や考え方に気づいていくことがある。片方が「知っていること」を「教えてくれる」から、もう一人も「学ぶ」のではなく、二人共知らないことを、どちらも一人ずつそれぞれ「分かる」ようになる。なぜこういうことが起きるかというと、対話の中にひとりひとりが自分の考えを変えていく仕組みが組み込まれているからであるらしい。『教育心理学概論』P86 三宅芳雄 三宅なほみ

困難にぶつかって悩む。これは一人で行う作業です。その一人で悩んでみて、解決策を見つけ解決をする。これも一つの問題に対する方略です。ですが、おそらく人生の中でこれですべて解決できることというのは割合として少ないのではないでしょうか。上記の引用をカウンセリングに結びつけてみると、そういう時に誰かに自分の悩みを説明する、そしてお互いにまだわかっていない解決方法について対話をしていく中で、自分の思考の枠組みが変わっていくことがあるということなのかもしれないと私は思いました。思考の枠組みが変わると、問題の捉え方も当然変わってきますし、問題が問題でなかったり、別の対策が見えてきたりがあるんだと考えています。

しかも、その場で起きていることは、「経験や思考をことばで表現すること」だから、ことばを使って自分の考えと他人の考えを統合したり、その場で起きていることや考えついたことを少し抽象化したりすることができる。こうやって社会的な関わりの中で自分の知識や理解が深まるとする考え方を社会的構成主義と呼ぶ。『教育心理学概論』P86 三宅芳雄 三宅なほみ

悩みについても自分の頭のなかでぐるぐる考えることも時には必要なのかもしれませんが、それを言葉にするというのは、相手にわかるように伝えるわけですから、当然自分の悩みを整理することにもなりうるのではないでしょうか。悩みを言語化するというのは、私はカウンセリングが持つ有効な手段であると思っています。クライエントは悩みを言語化し、それをカウンセラーが自分の枠組みで理解をしてクライエントに返す。それがクライエントの悩みとずれていたら、それも少しずつ話しをして調整し、理解を深めていく。その過程を経て問題が抽象化されていき、枠組みがクライエントもカウンセラーも変わっていく。その段階になっていくと、問題の捉え方、解決の方向性などが少しずつ見えてきている、そんな経験が私にはあります。

問題が整理できてくると、優先順位が見えてきます。また今手を付けられる簡単な解決行動も見えてくることもあります。ですので、ぜひ悩みがあったときには信用できる方に相談をしてみることをおすすめしたいと思います。

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